
ゴスペラーズのニュー・シングルは2枚同時リリース。しかもどちらもバラードという豪華版で、超完成度の高いアカペラ「Platinum Kiss」と、感動のラブ・ソング「陽のあたる坂道」がリスナーたちの秋のヘビー・ローテーションにエントリー! こんな楽しい悩みなら大歓迎というボーカル・グループ・ファンは、ふたつの名曲が生まれたストーリーに注目だ。
──レコーディングはどんなふうに始まったんですか?
黒沢薫 “やっぱ秋はバラードっつうか、アカペラがいいんじゃない?”みたいなところから(笑)。
──随分ざっくばらんなスタートだなあ(笑)。「Platinum Kiss」はアカペラのおいしい部分が全部入ってる。
安岡優 アイデアてんこ盛りです(笑)。
──特に歌い出しの力強さは衝撃だった。
酒井雄二 いつものゴスペラーズより低い音程から入ってます。
黒沢 実はあの部分は最初はピアノのイントロだったんです。でも歌詩を付けて歌ったらみんな驚くだろうなと思って、アレンジを妹尾(武)さんと一緒にやり直して。
北山陽一 ある意味、ちょっとゴスペルっぽい感じがある。
安岡 低いですからね、ハーモニーの積みが。
酒井 ゴスペラーズは比較的高いところでハーモニーを積みますからね。ファルセットを入れて、リード・ボーカルが高めでいけるようなコーラスをやるんで。そういう意味でこの曲のファースト・インプレッションは強いと思う。
安岡 ただし歌詩を書くのは、すごく難しいパズルだった、正直ね。やっぱりその歌い出しが良くなきゃダメじゃないですか、曲として。だけどあれって普通のサビと違うから。難しいパズルだなと思いながら書いてはいましたけど、あんまりそれを聴いてる人に感じさせてはいけない。自然になってはいると思うんですけどね。
黒沢 苦労かけました(笑)。ゴスペラーズのメンバーだったらこの歌い出しはバッチリだろうと。インパクトの薄い感じで歌われると、どうもならん曲ですから。作ってるときからメンバーの声をイメージしてました。例えば、上から3番目のメロディなんですけど、結構高いとこまでいく。“安岡はこういうふうに歌うかな”なんて思いながら書いていったりとか。いわゆるコーラスとかコードがうんぬんっていうよりは、メンバーがこれだったら気持ちよく歌えるかなとか、そういうことは考えました。あとでメンバーに“キーが高い”と言われましたけど。申し訳ないことしたなと(笑)。
安岡 そのぶんドラマチックではあるよね。音色は声だけなんだけど、にもかかわらずドラマチックに音色が変わるというか。リード・ボーカルのチェンジじゃなくドラマチックにアレンジされてるなと思いますよね。サビとか僕、リード歌ってるぐらいの高さなんですよ、自分の感覚としては。全然コーラスの高さじゃないんですよね。それなりにやっぱり歌い上げちゃう、どうしても。
黒沢 酒井とか特に大変なんじゃないかなと思いながら、“酒井さん、お願いします”。
酒井 裏声のトップとリードぐらい高い間の微妙なところで、力いっぱい歌うと飛び出てくるようなんで、極めて淡々と力まずに高い音を出すというすごい“修練”。ミドル・ボイスって言うんですか、裏声と地声の間の経験値が今すごく高められています。こういう要求をされたことは今までなかったです、はっはっは。
──笑いが引きつってますね(笑)。リーダー的にはどうだったの?
村上てつや この曲、アカペラっつっても派手さがあるんですよね。派手なアカペラっていう武器になってる。絶唱とまでは言わないけど、ちょうど俺にとってはギリギリ直前ぐらいのとこで。黒沢は俺ほどキツくはないはずであって。
黒沢 まあまあまあ(笑)。酒井に関しては、ちょっとキツかったかなあ。
酒井 でもビート・ボックスやって、すぐコーラスに戻れっていう、あれと比べたら全然大丈夫です。
──(笑)聴き応えありました。「陽のあたる坂道」のほうは?
黒沢 これは昔作った曲。最初に作ったのは1999年か1998年。アルバム『FIVE KEYS』の前。今回アルバムの曲集めのとき、いわゆるストック曲をもう1回整理し直そうみたいな話があって、いろいろ聴いてたときに、“結構いいかも”と思って。詩を安岡に書き加えてもらった。作ったのは“ゴスペラーズ坂”ツアーの頃で、まだ陽の当たるところに自分たちはいると思ってなかったので。
──ちょうどグループとして昇り始めた頃だよね。
黒沢 そうです、そうです。もうちょっと先まで行きたいなと、そういう気持ちがあって、こういう詩を書いてたなあと思いながら。ラブ・ソングなんですけど、僕らの思いだったり、ずっと応援してくれてる人への思いだったり、“行こうよ”みたいな前向きなあったかい感じもいいかなあ、と。
安岡 黒沢さんが今言ったように“坂を上って”みたいなところを今回はラブ・ソング仕立てにしようと思って。若者が傷つけ合ったりしても坂道の先に明るい場所があって、“それでもやっぱり未来があるんだ”っていうような映画のラスト・シーンみたいな。明らかに20代前半のアーティストが歌う歌詩じゃない。そういう意味では、今だからこそ歌える歌になってるのが、すごく“新曲感”があったのかもしれない。
──いい感じのレコーディングだったんだね。
酒井 っていうか、アルバムもすごくいいから期待しててくださいね。
──らじゃ!
text:平山雄一
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★ ムービー・コメント&PV ゴスペラーズからムービー・コメント到着。2曲のPVも少しずつお見せします!

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