
例えるなら、コブクロは有機野菜だ。ストリート生まれだけに土がついている感じ。見た目もデコボコ。しかし、ちょっとかじればその味と栄養がじんわりと心に染み渡る。良い素材はどんなアレンジを施してもおいしい。だから彼らのライブは、いつだって最高のフルコースのようだ。
7年前、大阪の路上で誕生したコブクロが、メジャーデビューから5年の月日を経て、この日、武道館のステージにいた。良質の楽曲をコンスタントにリリースして人々の心をつかみ、ライブ動員も増やしながら着実に成長を続けてきた彼ら。ふたりが武道館で味わわせてくれたのは、過去最高のフルコースだった。
白を基調としたシンプルなステージ。床もモニターまでも白。そこに楽器類とマイクスタンドがあるだけで、余計なものは一切ない。いつだって歌で勝負してきた彼ららしいステージだ。会場は1万人を超えるファンでいっぱい。ストリート時代から応援してきた人も、ドラマ主題歌にもなったシングル「ここにしか咲かない花」と「桜」で彼らを知った人も、みんながこの日を楽しみにしていた。客電が落ちた瞬間、待ってましたとばかりに大歓声と手拍子が起こる。
しかし、この日を誰よりも楽しみにしていたのは、他ならぬコブクロのふたりだろう。跳ねるようにステージへ走り込んできたのは小渕。ギターを抱え、客席に向かって全身を伸ばすように両手をあげる。カーキとボルドーのボーダーTに、左右の色が違うパンツ。一方、黒田は喜びを噛みしめるようにゆっくりと歩いて登場。ベージュのジャケットとショッキングピンクのシャツに、ジーンズ。このところトレードマークになっているサングラスをしている。ふたりの姿に、歓声はさらに大きくなった。
1曲目は、なんと新曲だった。コブクロらしい勢いと力強さのある「彼方へ」。イントロで黒田が『行くぞ、武道館!』と叫び、リリース前の曲ながら、会場はおおいに盛り上がった。続く「六等星」と「待夢磨心 -タイムマシン-」は、最新アルバム『NAMELESS WORLD』からのナンバー。小渕がキレイな指笛を決める。
最初のMCで『ようこそいらっしゃいました、コブクロへ〜!』と、まずは自己紹介。『ついに来てしまいました、武道館』と小渕が言えば、黒田はわざと感慨深げに『こんにちは武道館。ありがとう武道館』と言って笑う。恒例の“お客さんがどこから来たかチェック”(ふたりが各県の名前をあげ、そこから来た人たちは拍手)も健在。変わらないやりとりは、どんなに大きな会場でもふたりを身近に感じさせた。
曲は、「Million Films」「東京の冬」と続き、「同じ窓から見てた空」では、後ろのスクリーンに爽やかな青空が映った。最後は、ふたりのハーモニーとストリングスの音だけが残り、スクリーンはいつのまにか夜空。星がひとつ光っている。そのまま曲は「ここにしか咲かない花」へ。イントロだけで拍手が起こるという期待のなか、夕焼け色のピンスポットに照らされながら小渕が歌い出す。Bメロのハモリから黒田も夕焼け色になり、スクリーンもオレンジ色になった。しかし、どうやらこれは朝焼けだったらしい。夜が明けるように星が消え、明るくなったスクリーンの空に長い長い拍手が響いた。
ここでMC。一昨年からセルフ・プロデュースを始め、今一緒にステージに立っているメンバーたちに支えられて成長してきたことを話して、メンバー紹介。そのあと、小渕が『まだまだ先は長いので座ってください』と客席に促したのを待って、黒田も話し始める。毎回の事ながら、ふたりのトークで場内は爆笑の嵐。この日も小渕の『それでは曲に……』という言葉に『えー!』という不満の声があがったほど。歌を聴きに来ているのはもちろんなのだが、ふたりのトークもコブクロライブの大きな魅力であり、楽しみのひとつだ。
『次に聴いてもらうのは、出来たてほやほやの新曲です!』という小渕のMCから、曲は「Fragile mind」へ。続く「大樹の影」では、小渕が三線を披露。炎のような赤いスクリーンとストリングスがふたりをドラマチックに彩った。「Starting Line」を挟み、小渕が亡くなった母に捧げて作った名曲「遠くで・・」。ふたりの声とギターとハーモニカだけがシンプルに響き、小渕の語りかけるような歌声に会場は感動の涙に包まれた。どこまでも伸びる声は、誰もが確実に天国まで届いたと思ったことだろう。
そして、コブクロ結成のきっかけとなり、リリース後は日本の名曲の仲間入りを果たした「桜」。これまでの日々がよみがえったのか、2番のサビの途中でふいに黒田が声を詰まらせた。大切な曲を歌い切るべく何度かマイクを持ち直すが、どうしても声にならない。それをカバーするかのように客席からは大合唱が湧き起こった。その声とふたりのアカペラが重なったが、やがて会場は静かになり、最後は彼らの生声だけになった。震えんばかりのハーモニー。マイクを通さないふたりの声が武道館の隅々まで届き、そしてすべての人々の胸にも届いた瞬間だった。
『「桜」は7年以上前に出来て、路上に立ち始めたときの僕らそのものなんですけど、この曲が武道館に僕らを連れてきてくれました』と小渕。『この曲ほど僕らに出会いをくれた曲もないと思います』と、「桜」にまつわる思い出と感謝の気持ちを話した。一方黒田は、『はぁ〜っ』とため息をつき、『これDVDになんのに……』と照れくさそう。しかし、そのあとはジョークを飛ばしまくり、さっき泣いた人とは思えないほどの爆笑トークを聞かせてくれた。そして嬉しいお知らせも。なんと、今年秋にも全国ツアーが決定。その中には武道館公演が3日間含まれているという。これには会場中が大歓声。大阪城ホールは何年も前に2日間の連続公演を実現させている彼らだが、名実ともに全国区アーティストとなった今、さらに上を目指す。『次のライブも来てもいいなと思ってる人!』という呼びかけに会場中が拍手で答え、ふたりは満面の笑顔を見せた。
そのテンションを連れたまま、曲は大盛り上がりのポップナンバー「Pierrot」へ。続くドラムソロから、ライブでは欠かせない「ストリートのテーマ」へ移ると、会場は色とりどりの照明と銀色のキラキラテープ(コブクロのメッセージ入り!)で埋め尽くされた。恒例のコール&レスポンス“♪朝まで僕らと一緒に歌ってくれませんか”もバッチリ決まり、さらにひとつになった客席を連れて『コブクロまだまだ行きまーす!』と小渕。「轍」では、客席の照明が全部つけられた。ひとりひとりの顔を確かめるように、ステージの端々まで走り回りながら歌うふたり。最後は、疾走感あふれるロック曲「LOVER'S SURF」。力強く叫ぶようなボーカルを聴かせる黒田。小渕のギターソロ。会場の手拍子。それらすべてが膨らんで、ラストの火薬と共にバンッと弾けた。
アンコール、白のツアーTシャツを着たふたりは、満足感いっぱいの笑顔で再びステージに現れた。『もう1曲、新しい曲を聴いてほしいと思います』と小渕。「あなたへと続く道」と名付けられた新曲は、もう会えなくなってしまった人への思いを綴った曲だという。コブクロらしい、温かくも切ないラブソング。これもまた近い将来、たくさんの人たちの心に長く残る曲になるだろうと思った。
続いて「NOTE」を披露し、最後の曲はアルバム『NAMELESS WORLD』の1曲目に収められている「Flag」。ふたりがストリート時代に感じていた想いを歌った曲であり、いつまでも初心を忘れない彼らの決意をも感じられる曲だ。スクリーンには、雨上がりのような青空が映し出され、まるで太陽が雲の切れ間からふたりを照らしているように見える。最後の“♪いつの間にこんなに歩いてきたっけ”のフレーズで目を合わせるふたりを見て、5年後、10年後、またどこかでこの曲を聴き、このフレーズで目を合わせるコブクロを見たいと思った。そして、それは実現するだろう、とも。そのときのステージも余計なものが一切なく、シンプルで、でもふたりの変わらぬ想いと歌があるはずだ。長い長い拍手に包まれながら、長く長く頭を下げた彼らがこの日感じたこと。それもいつか歌として聴けるときが来るかも知れない。
TEXT:松本純枝
PHOTO:古渓一道
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彼方へ(新曲)
六等星
待夢磨心 -タイムマシン-
Million Films
東京の冬
同じ窓から見てた空
ここにしか咲かない花
Fragile mind(新曲)
大樹の影
Starting Line
遠くで・・
桜

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Pierrot
ストリートのテーマ
轍
LOVER'S SURF
<アンコール>
あなたへと続く道(新曲)
NOTE
Flag

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★ リリース
●この日の武道館公演が、後日DVD作品として発売される予定です!(詳細未定)

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発売中
2006年2月8日
シングル
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発売中
2005年12月21日
アルバム
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★ ニュース
秋・冬のツアーが決定!
KOBUKURO LIVE TOUR '06“秋〜冬”
10月7・8日 広島グリーンアリーナ
10月11・12日 大阪城ホール
10月16日 松山市民会館
10月19日 静岡市民文化会館
10月22・23日 宮崎市民文化ホール
10月27日 マリンメッセ福岡
10月31日・11月1・7日 日本武道館
11月12日 香川県県民ホール
11月14日 石川厚生年金会館
11月17日 仙台サンプラザ
11月20・21日 大阪城ホール
11月27日 北海道厚生年金会館
11月29日 新潟県民会館
12月2・3日 名古屋レインボーホール
★ データ
★ オフィシャルサイト
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