―― 1曲1曲から強い想いが伝わってくるアルバムだと思いました。例えば「RAINBOW DUST」とか「心のカタチ」とか「愛すべき人」を通して私が感じたのは、“逃げてばかりの自分を捨てるんだ!”という気持ちだったんですが。
「RAINBOW DUST」に関して言うと、いろんなことからずっと逃げていた自分から始まっている曲なんです。以前の私は、いろんなことを人のせいにしながらもがいていたんです。今は良い方向に変わりましたけど。こういう曲を聴いて“めんどくさいことを言ってるな”って感じる人もいるかもしれないですけど、何年か経ってから何か感じてもらえるのではないかと。今は共感できなくても、歳を重ねる中で共感できるところが出てくる。そういうアルバムになったんじゃないかと思います。
―― 榎本さんの音楽は全体的に“葛藤”が渦巻いていますよね。“わたしはこれでいいの?”という迷いとか心の揺らぎが、曲を貫く絶大なエネルギーになっている気がするんです。
たしかに葛藤とか、もがいている感じってありますね。そういうことが正直に出るのが歌っていうものなんだと思いますし。音楽をやる上でいろんな気持ちはあるんですけど、今の自分にとって一番求めているのって、そういうことなのかもしれない。BGMとしての音楽ではないのかもしれないですけど。じっくりと一対一で向き合って過ごすことができるのが、今回の12曲だと思います。この先は遊びも入ったこととか、いろんな形が出てくると思いますけど、まずは今回みたいなことをやっておかないと、次に進めない気もしていました。
―― この12曲で描かれていることは様々ですけど、興味深かったことのひとつは、別れの曲の独特さです。「スピードウェイ」とか「ジャングルジム」は、まさに別れの曲ですけど、別れをただ悲しむんじゃなくて、その体験を積極的にポジティブなエネルギーに変えようとする姿勢が表れているじゃないですか。そういう内容が、かなり独特だと思いました。
ああ、そうかもしれないですね。
―― 例えば「スピードウェイ」は、<幸せだったのは走れたこと あなたと別れても走れたこと>というような印象的なフレーズがありますよね。別れを受け入れて、乗り越えた自分を肯定している気持ちが伝わってきます。
否定も肯定も入っている感じですかね。この曲は自分の感情を殺すことを描いていますけど、もちろんそれは辛いし不安なことですよね。でも、それを乗り越えて感情を殺してみたことによって感じられる“生きてる”っていう実感みたいなことが、この曲には出ている気がします。なかなか現実においてこういう風に思えるかどうかは難しいところですけど、そうあれたらいいなという願いもあるんですかね。
―― 榎本さんの曲って、聴いてるとすごくポジティブな気持ちが湧いてくるんですけど、歌の中に込められているのは、決して前向きな気持ちばかりではないですよね。むしろ痛みとか苦しみをたっぷりと踏まえている。“辛いことはたくさん起こるけど、自分の気持ちを切り替えることで世界を輝くものにしたい!”っていうような願いとか意志が浮かび上がってくるのが、榎本さんの音楽の醍醐味だと思います。
きっとそうなんだと思います。自分がそういう風に思ってるんだってことを、ようやく分かってきました。昨日、何十回も自分の曲を聴いてそう思ったんですけど(笑)。私はただの明るさを求めてるわけじゃないんだと思う。悲しみや苦しみを受け止めながら希望があるものって、いつまで経っても褪せない気がしますし、わたしもそういうものを作りたいです。
―― あと、今回のアルバムはサウンドの多彩さも注目すべきポイントですね。サウンド・プロデューサーは根岸孝旨さんですが。
サウンドは、まだまだ手探りの部分が多いっていうのが正直なところですね。いろんなものを突き詰めて試したりもして、何かがブッ壊れた先にもっと面白いものが出てくるんじゃないかと思っているんですが。
―― でも、今回のサウンドも榎本さんの透明感とパンチ力を兼ね備えた歌声に美しくフィットしてますよ。例えば「素晴らしい世界」のストリングスを交えたバンド・サウンドは、ものすごく気持ちよいパワフルさへ繋がっていますし。
そうだと嬉しい。今回の作品を経た上で、この先どうブッ壊していくのかっていうことは一生懸命追求したいです。さっきからブッ壊すとかばっかり言ってますけど(笑)。でも、それが大事になってくる気がします。根岸さんもそういうことが見えてくるのを楽しみにしてるんじゃないかと思います。
―― ファンの方々にとっても、“どうブッ壊れるか?”は今後の注目ポイントになりそうですね。では、最後に今回のアルバムに関しておっしゃっておきたいことは何かありますか?
聴いてくださる人によって感じることはさまざまでしょうけど、必ず何か曲と繋がる部分があるんじゃないかと思います。たくさんの人に自分自身のことと重ね合わせて聴いてもらえたら本当に嬉しいです。
text:田中 大
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★ リリース

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2007年5月16日
アルバム
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★ ライブ 東名阪ワンマンツアー“記憶の未来ツアー” 6月13日 名古屋 ell.fits.all
6月15日 渋谷O-NEST
6月21日 大阪 Shangri-La
★ データ
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オフィシャルサイト
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